【ニューヨーク=西邨紘子】米製薬大手ギリアド・サイエンシズは12日、新型コロナウイルス感染症の治療薬「レムデシビル」の生産拡大に向け、後発薬メーカー5社とライセンス契約を結んだと発表した。後発薬各社は新興国を中心とした127カ国向けに同薬を供給する。ギリアドは当面ライセンス料を徴収しない方針で、各国での販売価格は後発薬各社が決めるとしている。

後発薬大手マイランのほか、インドやパキスタンの後発薬メーカー4社とライセンス契約を結んだ。「低・中所得国や、ヘルスケアへのアクセスに問題がある一部の高所得国への供給が対象になる」(ギリアド)といい、日米は含まない。

ライセンス料の放棄は世界保健機関(WHO)が新型コロナに関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の収束を宣言するか、レムデシビル以外の新型コロナ治療薬もしくはワクチンが実用化されるまで続けるとしている。

レムデシビルは本来、エボラ出血熱の治療薬として開発されたが、承認に至らなかった。新型コロナ治療で有効性が確認され、これまでに日米が特例使用を承認した。未承認薬のため量産体制がなく、早期の供給拡大が課題となっている。

足元で新型コロナの感染は先進国から新興国に広がっており、新興国でも治療薬を利用できる環境の整備が急務になっている。

2020/5/13 7:45
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