[12日 ロイター] - 米大統領選の民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領の外交政策顧問、ジェイク・サリバン氏はロイターとのインタビューで、トランプ大統領の中国に対する強気の発言は行動が伴っていないと批判し、バイデン陣営は優れた対中政策を打ち出す準備を進めていると述べた。

オバマ前政権の高官を務めたサリバン氏は「バイデン氏はトランプ氏に対し、中国へのアプローチにおける破滅的失敗の数々、そして強気の発言と弱腰の行動との大きな食い違いという2つの点について、責任を追及するつもりだ」と述べた。

新型コロナウイルス感染拡大については、危機の深刻さについて中国が透明性を欠いているとの懸念が世界的にあるにもかかわらず、トランプ氏が中国の習近平国家主席を繰り返し称賛したことについて批判を続けると語った。

また、長期化している米中貿易戦争に関しバイデン陣営は、米国人は恩恵をほとんど得ていないのに高い代償を払ったと強調する構えだという。

「大統領が中国に変革を求めるのに問題はないが、要求そのものよりも実際の変革によって大統領の評価は決まる」とした。

一方、トランプ陣営は、バイデン氏が当選しても現政権ほど中国に厳しく当たることはないと主張する。トランプ氏は、国内で8万人以上の死者を出した新型コロナ感染症への対応について中国への批判を強めている。また、同氏の陣営は12日の支援者宛てのメールでバイデン氏を「中国好きの候補者」と呼んだ。

トランプ陣営のサラ・マシューズ報道官は「バイデン氏の中国に関する実績はひどいものだ。(上院議員と副大統領時代の)40年間、中国を甘やかしてきた」と批判。

「トランプ大統領は今後も、中国に対して自らの行動の責任を取らせるだろう。しかし、バイデン氏が米国の国益のために戦うと信用することはできない」と続けた。

トランプ氏は最近、対中批判を強め、追加の対中関税発動も辞さない姿勢を示している。さらに、政権内では新型コロナを巡る中国への報復措置について議論されている。

米調査機関ピュー・リサーチ・センターの3月の世論調査によると、米国人の3分の2は中国について否定的な見方を示しており、同比率は15年ぶりの高水準を記録した。トランプ氏の大統領就任時から20%ポイント上昇している。

<付け入る隙>

一部のアナリストや対中政策の専門家は、オバマ政権時代の融和的な対中政策を踏まえると、バイデン氏はトランプ氏より優れた対中政策を打ち出せるとの主張について、詳細なビジョンを示す必要があると指摘する。

サリバン氏はインタビューで、トランプ氏のように米国単独で中国に対峙するのではなく、バイデン氏は同じ考えを持つ諸国と協力して中国に圧力を加え、技術の移転への制限を強化し、中国での人権問題が最高レベルで取り上げられるように取り組むと説明。

中国との貿易戦争を米国が単独で戦おうとするよりも、他の先進国と協力して圧力をかけるほうが「大いに好ましい」とした。

新疆ウイグル自治区でウイグル族を施設に収容する際に使われる技術の移転に対する制限を厳しくする考えもバイデン氏にはあるとした。

また、トランプ氏は科学技術の分野で中国が米国を追い越すのを許したとし、バイデン氏は米国の技術革新や教育、インフラへの投資を増やすと述べた。

さらに、トランプ氏が「量子計算や人工知能(AI)、バイオテクノロジーよりも鉄鋼、石炭、戦艦に執着」し、「中国に付け入る隙を与えている」と論じた。

ワールド2020年5月13日 / 13:39 / 2時間前更新
https://jp.reuters.com/article/usa-election-biden-china-idJPKBN22P0GU