新型コロナウイルスの感染拡大を受け、通夜・葬儀で参列者が密集、密接しないための取り組みが続けられている。県外では参列者間で感染が拡大した例もあり、福井県内の葬儀社は遺族らに、廻り焼香や近親者のみの葬儀を提案。規模縮小で参列者を減らし、リスク軽減を図っている。

 法美社(本社福井県福井市)は3月中旬から、チラシを作って喪主に規模縮小を要請している。4月に入ってからはほとんどが通夜は廻り焼香か近親者のみ、葬儀は近親者のみで営まれているという。

 会場では、掲示で、訪れた参列者に廻り焼香を呼び掛けるとともに、一般参列者用の椅子を大幅に減らし、なるべく会場にとどまらないようにしている。このほか▽町内の送迎バス運行取りやめ▽会社関係者の参列自粛▽式後の食事の持ち帰り―なども検討するよう求めている。

 4月中旬に母親の通夜・葬儀を営んだ福井市の50代男性は、感染への不安から通夜は廻り焼香、葬儀は近親者のみとした。県外の親戚には参列を見送ってもらった。「来てもらえる人には来てもらった方が母も喜んだと思うが…」と複雑な心境を語る。一方で、「こんな状況なら縮小も仕方ない。葬儀を営めただけでも良かったと思う」と前向きにも捉えている。

 法美社の担当者は「遺族が不安なくお見送りできるよう、感染予防対策に努めたい」と話している。
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1085133