日本郵船は13日、液化天然ガス(LNG)を燃料とする「LNG燃料船」に燃料供給するための専用船「LNGバンカリング船」が、建造を請け負う川崎重工業の坂出工場(香川県坂出市)で進水したと発表した。LNGバンカリング船の進水は日本初となるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で進水式は行わない。環境対策のため硫黄酸化物(SOx)を含まないLNG燃料の需要が高まり、燃料の供給体制の強化が求められてきた。燃料供給の拠点として日本の港湾の国際競争力が高まることが期待される。

 専用船は4月27日、川崎重工業の坂出工場で船体工事を終えて進水した。今後、エンジンなど各種機器を搭載し、9月末に竣工(しゅんこう)する予定だ。川越火力発電所(三重県川越町)を拠点とする。日本郵船が東京電力と中部電力の火力発電事業を統合したJERA(ジェラ、東京)などと共同で進める事業で、川崎重工業が建造を手掛けている。

 全長81・7メートルで、1回で供給できる容量は3500立方メートル。日本と北米・オーストラリアを往復でき、日本と英仏など欧州を途中給油なしで片道運航できる量に匹敵するという。JERAがLNG燃料を調達し、日本郵船などの出資会社が運航する専用船をLNG燃料船に海上で横付けし、燃料を供給する。

 日本では現在、タンクローリーなどで陸上から供給するが、専用船から直接供給することで多量の燃料供給ができるとともに、同時に荷積みを行うことも可能という。

 今年1月から国連の専門機関「国際海事機関(IMO)」による排ガス規制が強化された。海運船舶は従来、割安なディーゼル燃料や重油を使うが、排ガス規制の大幅強化を機に、硫黄分を含まない燃料を使った船舶の需要が高まり、供給体制の整備が進められてきた。

https://www.sankei.com/smp/economy/news/200513/ecn2005130038-s1.html