たしかに検事総長が厳密な意味で「正義の具現者」だったとは言いにくい部分は存在する。
たとえば佐川急便事件での自民党実力者・金丸信を罰金刑で済ませた問題だ。
このときには、検察庁は国民から猛批判を受けた。

検察庁は「自由主義を守る」との大義名分で時に権力に忖度し、その代わりに政権は
「検察の自主性」を尊重するという、両者に事実たる慣習が成立していたということである。
それゆえ、任命権者たる政権側は検察側から示された人事上の意向を容認してきたものであろう。
それは内閣が最高裁長官を指名し、その他の最高裁裁判官を任命する際にも裁判所の人事案を尊重する
ことでも同様である。