終わりの見えない新型コロナウイルスの感染拡大の中、全国の性風俗で働く女性たちが悲鳴を上げている。
4月7日に厚生労働省が新設した個人事業主やフリーランスを対象とした小学校休業等対応支援金(1日4100円)は、風俗業従事者も対象とされたが、
個人事業主に100万円が給付される持続化給付金は対象外となっている。
「『身体を売る彼女たち』の事情―自立と依存の性風俗」(ちくま新書)の著者で、一般社団法人ホワイトハンズ代表の坂爪真吾氏(38)に業界の今を聞いた。

首都圏の繁華街から少し離れた風俗街。5月の大型連休にもかかわらず点灯する看板は少なく、人通りもない。
営業を続ける店舗も開店休業状態で、客寄せの「かわいい子いますよ、いかがですか」の声がむなしく響いていた。
高級店の前には手入れの行き届いた送迎用の車。男性スタッフは「やることがなくて洗車ばかりさ」と顔を曇らせた。

ソープランドで4年前からキャストとして働くAさん(25)は、「コロナの影響で他のグループ店も本当にお客が来ない。
他の店で働いてる子も(客の指名がなくて)ヤバいって言ってた。そもそも店舗が休業してるところもあるし。
(性風俗)一本の女の子は本当に苦しいと思う」と厳しい現状を語る。繁忙期の昨年末には12月だけで200万円稼いだというAさんだが、現在はコロナ禍で月15万円ほどに。
同業者の中には東京では指名が取れず、食事はカップラーメン1食でしのぎ、地方都市に出稼ぎする女性もいるという。

ホワイトハンズが運営し、性風俗従事者の無料相談を行っている「風テラス」によると、昨年2〜5月は296人だった相談件数は、今年は2月〜5月10日までで1239人に達した。
「風テラス」発起人の坂爪氏は「圧倒的に多いのは生活困窮の相談で、来られる方の6割が専業で性風俗で働く方。ネットカフェもホテルも休業、雨風しのげる場所がない方もいます」と現状を語った。

風俗情報サイト「シティヘブンネット」によると、性風俗従事者は全国に約36万人。中には望まぬ従事者もおり、夫のDVから逃げるために子供と家出し、性風俗で生計を立てる女性もいる。
SNS上では、税金を納付していないと批判する意見もあるが、坂爪氏は「彼女たちは脱税しようとはしていない。
自身が個人事業主であることを知らないことが多い。相談に来た方には、まず所得の申告を促してます」。

終わりが見えない状況が続くが、坂爪氏は「もう生きていけないと悲観しないでほしい。
自治体の生活保護や住居確保給付金など、制度を頼れば生活できる最低ラインは確保されている。
悩みを抱え込まないでほしい」と早めの相談を呼びかけた。

https://news.livedoor.com/article/detail/18246835/
2020年5月12日 8時0分 スポーツ報知

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