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新型コロナウイルス感染による区役所などの窓口閉鎖を避けるため、京都市は窓口業務を11日から最大3時間短縮している。
10万円の特別定額給付金の手続きを進めようと、業務時間の変更を知らずに来庁する市民も多く、
申請書の郵送を待つよう勧める区役所も出始めた。

12日午後0時15分。カーテンが下ろされた左京区役所の窓口前で主婦(36)が戸惑っていた。
特別給付金のオンライン申請などのため、マイナンバーカードの暗証番号を確認に来た。朝、区に電話したがつながらず、
昼に訪れると窓口が休止されていた。「時間の短縮は知らなかった。早く準備したかったのに」と嘆き、自宅で留守番している
2人の小学生を心配した。
 
市が窓口業務の短縮に踏み切ったのは、3月に発覚した右京区役所職員の感染が理由。
濃厚接触者となった職員が出勤できず、一部窓口が閉鎖された。市は「同様の事態が懸念される」として、全ての区役所・支所と、
3出張所(久世、神川、淀)は朝、昼、夕の計3時間、他の出張所では昼の1時間、開庁時間の短縮を決めた。
 
市地域自治推進室は「1日当たりの窓口職員の数を減らし、感染者が出ても別の職員でカバーする。閉鎖だけは避けたい」と、理解を求める。
しかし、市民への周知は行き届かず、初日の11日は、左京区では開庁前に30〜40人が並んだ。右京区でも、約50人が詰め掛けた朝もあった。
 
窓口は「10万円給付」を早く申請できるマイナンバーカードの手続きをしようとする市民らで混雑している。
10万円給付で、市はカードを使ったオンライン申請を15日から始めるが、自宅に郵送される書類を待っていると、申請は6月上旬にずれ込むという。
 
開庁時間の短縮が「密」に拍車を掛け、区役所が感染拡大の場になる恐れもある。市は、カード交付と暗証番号を忘れた場合の設定変更について、
即日での手続きを原則中止。窓口では受け付けだけを行い、カードを後日郵送する方策をとる。全国でカードの手続きが殺到し、
システムに支障が出るケースがあったためだ。
 
さらに右京区はカードの取得希望者に交付まで「少なくとも1カ月半〜2カ月かかる」と書いた説明文を配布。
職員が「給付金の郵便申請までお待ちいただいた方がいい」と口頭で勧めている。中にはカードがないと支給されないと誤解する人もいる、という。
 
「感染が怖いから本当は来たくなかった」。12日、同区に来庁した80代の男性は職員の説明を聞いてカード取得を断念。
「開庁時間短縮は仕方ないが、カードの有無で支給時期に差が出るから混乱する。ネットに詳しくない年寄りは後回しということか」と漏らした。