新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が39県で解除された後、各地の繁華街で夜間の人出が増加したことが、ソフトバンク系列のIT企業「アグープ」のデータでわかった。宣言が解除されていない東京都や大阪府、北海道でも人出が増えており、「自粛疲れ」がうかがわれる。

 アグープがスマートフォンのアプリから得た位置情報を基に半径500メートルの滞在人数を推計。15日午後7時台の人出を、宣言解除が発表された14日と比べた。

 宣言が解除された地域では、名古屋市の栄駅で前日比10・6%、福岡市の中洲川端駅で同14・3%、それぞれ増加した。

 解除されていない東京都でも、3月末から減少傾向にあった新宿・歌舞伎町で12・5%増え、銀座駅は23・0%と大幅に増加。大阪市では心斎橋駅が20・0%、北新地駅が16・3%、それぞれ増加。札幌市のすすきの駅では13・7%増えた。

 栄駅と心斎橋駅は、宣言解除前の今月7日から増加傾向がみられている。

 ただ、いずれの地点も、前年5月の平日を平均した数値と比べると人出は5〜7割程度減っている。

 一方、NTTドコモの「モバイル空間統計」によると、16日午後3時の人出は、東京・銀座で前年同月比72・4%、大阪・難波で69・1%の減少となった。

 国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「宣言が続く地域も、気分的に外出自粛が緩んでいる可能性がある。感染リスクが高まることが予想され、結果的に宣言解除の遅れにつながりかねない」と指摘する。

2020/05/16 22:18

https://www.yomiuri.co.jp/national/20200516-OYT1T50255/