【検察庁法改正】“元凶”黒川は林と共倒れか 検察内部で「第3の男」が浮上
5/18(月) 6:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/633915dc166db5fc250edef742ca99726ae121de

「検察庁法改正案を巡るゴタゴタも含め、ここまでブラックな印象が定着してしまった以上、黒川氏の総長就任は無理ではないか」(法務省関係者)

 検察官の定年引き上げを盛り込んだ検察庁法改正案を巡る国会の攻防が繰り広げられる中、黒川弘務・東京高検検事長が「予定通り」検事総長に就任できるのかという焦点が浮かんでいる。黒川氏が総長に就くか否かは、今回の法改正と直接は関係ないが、法改正のきっかけが黒川氏の定年延長にあったからだ。

 一方で、検察組織が元々予定していた林真琴・名古屋高検検事長の総長就任も、今になって内閣が首を縦に振るとは思えない。既に検察内部からは「黒川、林の両氏ではない第三者を総長に」との声が上がっている。それは、誰なのか――。

そもそも内閣が描いていた「黒川検事総長」の筋書きとは
 改めて経緯を整理しよう。現在の検事総長、稲田伸夫氏は司法修習33期。既に34期はおらず、次に35期の黒川氏と林氏の2人が続く。稲田氏は2018年夏に総長に就任しており、約2年間という慣例の在任期間を考えると、今夏、退任が見込まれている。現行制度では、検事総長を除く検察官の定年は63歳で、黒川氏は林氏より早い今年2月に定年を迎える予定だったが、内閣が「異例の閣議決定」で半年延長した。

 表向きの理由は「検察庁の業務遂行の必要性」。具体的には、海外逃亡してしまった日産自動車前会長、カルロス・ゴーン氏の事件に関わる捜査などに、黒川氏の捜査指揮の手腕が不可欠という。閣議決定の結果、黒川氏の定年は今年8月まで延び、対する林氏は今年7月に63歳の誕生日が来る。唯一無二のライバルである林氏が定年退職した後、内閣が黒川検事総長を任命するという筋書きが描ける。

 そもそも、この黒川氏の定年延長自体が、前代未聞として悪評を招いた。検事総長の任命権者は内閣だが、これまで検察組織の意向が受け入れられてきた。

仮にこのまま黒川氏が検事総長になっても……
 今回、検察組織は林氏の就任をイメージしていたが、内閣が恣意的に黒川氏の総長就任のための線路を敷いた。そして、検察庁法改正案は「黒川氏問題」を後付けで正当化する意味合いを持つとされる。この改正案がこのまま成立したとしても、施行は2020年4月。黒川氏が改正法の恩恵を即座に被るわけではない。それでも、黒川氏は「元凶」として各メディアに取り上げられ、悪印象が定着してしまった。

 仮にこのまま黒川氏が次期検事総長になっても、最初からダークなイメージがつきまとい、検察に対する国民の信頼はおぼつかなくなる。

 黒川氏はとりわけ菅義偉官房長官と親密な関係があるとされるが、内閣もここに至っては黒川氏を総長に任命することへのハレーションに耐えきれなくなるのではないかと考えられる。かといって、今更、7月に定年を迎える前に林氏を総長に充てるという選択肢も想定しにくい。

 そうした中、検察内部からは「いっそのこと、次の36期から次期総長を」との声が上がっている。36期といえば、まず名前が挙がるのが、最高検次長検事の堺徹氏だ。