韓国は盗んだ仏像を日本へ返すしかない

「日本に対する復讐はいくらしても足りないが、道徳的優位を失えば克日は遠ざかる」

朝鮮日報2020.05.16 千英宇 元外交安保首席
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2020/05/15/2020051504467.html

日本軍慰安婦被害者支援を標ぼうする正義記憶連帯(正義連)と今回の総選挙で共に市民党比例代表で当選した尹美香(ユン・ミヒャン)前正義連理事長の偽善と積弊が漸次佳境に入る。

今月8日、慰安婦被害者である李容洙(イ・ヨンス)ハルモニの爆弾発言がメガトン級暴風をよんだ。李ハルモニは正義連とユン・ミヒャン当選者に向かって「30年間だまされるだけだまされたし、利用されるだけ利用された」と言った。日本大使館前の水曜集会についても「憎しみと傷だけ教える。寄付も被害者に使ったことがなく、どこに使われたかも分からない」と言う。

この様な不都合な真実は被害当事者である慰安婦ハルモニの他には口にできない。メディアや政府当局者は正義連とその前身である韓国挺身隊問題対策協議会(挺隊協)の実体を知っていても、これを報道したり言及すること自体がダブー視されてきた聖域だったからだ。

イ・ヨンス、ハルモニの勇気はこのような聖域を崩したと評価される。正義連の実体を離れてこの際、慰安婦問題の解決法について十分に検討すべき問題を三種類だけ提起してみよう。

最初に、慰安婦問題の最終解決法として日本政府から明示的な国家責任認定を受け取る以外の次善策はどれも拒否すべきだろうか?明確な国家責任認定が最善の解決法であることは明らかだが、実現不可能な目標という点でこれは事実上永遠に未決に残したまま日本が歴史の荷物をずっと負って行くようにする方案だ。

2015年12月28日、韓日慰安婦合意により日本の国家予算で10億円を受けとったことは、日本の間接的国家責任認定を受け入れるという意味と解釈できる。日本に国家責任が全くないなら、慰安婦被害者支援のために国家予算を使う理由がない。

政府は2018年11月21日、「和解・治癒財団」解散を発表し、韓日慰安婦合意は真の解決策にはなれないが、破棄や再協議を要求しないといった。それではどうするのかは分からないが、韓日間既存合意が解決策になれない、という考えならば日本から受けとった10億円を直ちにかえすことが当然の道理だ。

二番目、政府が前面に出す「被害者中心主義」とは何か?ムン・ジェイン政府がパク・クネ政府の慰安婦合意を批判した論拠は被害者中心主義を無視したということだった。ところが被害者は慰安婦ハルモニなのに挺対協・正義連と勘違いしているのではないか?大多数登録された被害者は亡くなる前に日本の適切な謝罪と補償を通した解決を望むが、正義連としては慰安婦問題解決が自らの存在理由と活動空間萎縮を意味する点で利害関係が相反する余地がある。

2015年韓日慰安婦合意当時、挺対協は被害者に日本資金受領を拒否するよう勧めたが生存被害者47人中35人が挺対協の推奨を無視して補償金受領を選択した事実は挺対協・正義連と被害当事者の利害関係が異なることを立証する。

国税庁ホームに公示された通り、挺対協・正義連が過去4年間集めた後援支援金49億2000万ウォンのうち被害者支援に使った金額が9億2000万ウォンに過ぎないならば、他の目的を追求するために慰安婦被害者を利用して彼女たちに寄生してきた団体という非難をまぬがれないだろう。

正義連が反日を大韓民国の存在価値として崇めたてる勢力を代弁しながら政治的実利を得ることに気をとられれば、慰安婦被害者の利益は政治的目的に従属するほかない。政府が挺対協・正義連が被害当事者の利益を代表していると勘違いして慰安婦問題の解決方法を探そうとしたとすれば、被害者中心主義を無視したことになる。

最後に、慰安婦被害者のためだという名分で違法や不法までも容認するのか?津々浦々に少女像をたてて慰安婦被害者がみな亡くなった後も日本の蛮行を再確認するのは歴史教育次元でも必要だ。しかし、公園や記念館のような品格ある場所を差し置いて、あえて適法手続きを省略し、道路法違反の場所に「不法建造物」をたてたり「外交関係に関するウィーン協約」に反して外交公館の安寧と尊厳を害する位置を選んで設置することが慰安婦被害者のための道であろうか?

日本に対する復讐はいくらしても足りないが、そこに終わりなしにとらわれて大韓民国がこれ以上壊れる必要はない。反日も重要だが私たちにはそれよりさらに大切な価値もある。日本に対する道徳的優位を喪失すれば克日はさらに遠ざかる。