政府は19日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」を継続している8都道府県のうち、大阪、京都、兵庫の近畿3府県について、宣言を解除する調整に入った。いずれも直近1週間の新規感染者数が、基本的対処方針で示した人口10万人当たり「0・5人程度以下」の基準を満たしており、21日の政府対策本部で最終的な状況を見極めて正式決定する見通しだ。一方、基準を上回る北海道と、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏1都3県の解除は見送られる公算が大きい。

 菅義偉官房長官は19日の記者会見で「解除は感染の状況、医療提供体制、監視体制の3点に注目し、総合的に判断する。21日をめどに専門家に改めて状況を評価していただき、可能であれば、31日の期間満了を待つことなく緊急事態を解除する考えだ」と述べた。

 毎日新聞の集計によると、18日までの1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は、大阪、京都、兵庫の3府県ではいずれも0・3人以下にとどまっている。政府は3府県の解除について、21日に開く専門家らによる基本的対処方針等諮問委員会に諮問し、了承されれば、その後の政府対策本部で決定する。

 一方、埼玉、千葉両県の10万人当たりの感染者数は0・3人程度にとどまっているが、東京、神奈川は0・8〜1・1人程度と基準を上回っている。政府は首都圏4都県は社会・経済活動の関係が互いに深いことから、解除の可否は一括で判断する方針。北海道も10万人当たりの感染者数が0・9人程度と基準を超えており、5都道県の解除は依然難しい状況だ。

 宣言が解除されれば、都道府県知事による外出自粛の要請は解かれる。ただ、政府は「感染第2波」への警戒から、月内の県境を越えた移動や、これまでにクラスター(感染者集団)が発生している夜の繁華街の接待を伴う飲食店やカラオケ、ライブハウスなどへの出入りは引き続き控えるよう呼びかける方針だ。

 政府は「感染者の増加スピードが高まってくれば2度目の緊急事態宣言もあり得る」(安倍晋三首相)としており、解除した地域でも再び感染が広がった場合には、直近1週間の新規感染者数や、累積感染者数が2倍になるまでの時間(倍加時間)などを分析し、「再指定」を検討する。【竹地広憲、遠藤修平、村田拓也】

毎日新聞2020年5月19日 20時05分(最終更新 5月19日 20時19分)
https://mainichi.jp/articles/20200519/k00/00m/040/203000c