2020年5月21日 10:05 JST

米政府は中東諸国に警告、中国政府に貴重な情報与える恐れ−当局者
中国のBGI、イスラエルやUAEなどに検査センター展開

米国は世界最多の新型コロナウイルス感染件数を管理するのに十分な検査態勢整備で苦戦したが、中国の遺伝子解析企業BGIグループは数千マイル離れた中東に1カ月足らずで複数の検査センターを建設した。

  BGIグループ(本社深圳)は迅速に動くことで、イスラエルやアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアなど伝統的に米国の同盟国とされる国で数億ドル規模の契約を獲得。米国はこれらの国に対し、将来の経済を推進する非常に貴重な個人情報へのアクセスを中国政府に与えることになりかねないと警告している。

  中国の検査技術採用に反対するこうした動きは広範囲な米中対立の一部で、パンデミック(世界的大流行)対策を開始する世界の取り組みを複雑にしている。

  トランプ米大統領は中国が感染の発生源を巡る情報を隠蔽(いんぺい)したと批判し、中国政府に影響されているとして世界保健機関(WHO)への資金拠出の凍結も辞さない構えだ。これに対し中国は、米国での感染による死者が急増する中、ホワイトハウスが自らの失敗から注意をそらそうとしていると指摘した。

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武漢にあるBGIの研究所で作業を行う技術者(2月6日)

  米当局者はブルームバーグに対し、BGIを「ゲノミクス分野の華為技術(ファーウェイ)」だと指摘した。ファーウェイは米国は情報セキュリティー上の理由から輸出規制の標的とされている。同当局者が匿名を条件に話したところによれば、米政府はBGIを巡る懸念を中東の提携先に伝えており、中国政府が機密情報を収集して主要貿易相手国のイランなどと共有する恐れがあると警告しているという。

  ただ、中国が危機管理の経験を世界的な機会と位置づける中で、米国のこうした主張は同国の同盟国に対しあまり影響力がないもようだ。死者数が他国の3倍近い米国はさほど代替手段を提供することができていない。

原題:Chinese Genetics Firm’s Mideast Testing Raises U.S. Tensions (1)(抜粋)