山形県鶴岡市唯一の映画館「鶴岡まちなかキネマ」が22日に閉館することになった。シネマの灯が消えていた街を盛り上げようと、オープンして丸10年。新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休業も影響した。

 同市などを舞台に撮影され、2008年公開の映画「おくりびと」(滝田洋二郎監督)が、第81回米アカデミー賞外国語映画賞を受賞するなどしていた中、中心市街地の活性化を目指して地元企業でつくる「まちづくり鶴岡」が10年5月に開館。昭和初期の木造絹織物工場を生かした建物に4スクリーンを設けた建築で注目を集めたが、オープン当初から年間13万人の集客目標に届かず、「赤字体質を脱却できなかった」という。

 さらに、新型コロナの感染拡大に伴う県の営業自粛要請を受け、4月19日から臨時休業したことも響いた。

 木戸祐社長は「再開を目指していたが、回復見込みが不透明な中で自助努力だけでは難しく断念した。売却先を探すことも含めて、建物の活用策を考えていきたい」と語った。

 同社が私的整理手続きを進める意向を示したことを受け、4億1900万円を貸し出している荘内銀行は取り立て不能か、遅延の恐れがあると発表した。【長南里香】

毎日新聞 2020年5月22日 08時55分(最終更新 5月22日 08時55分)
https://mainichi.jp/articles/20200522/k00/00m/040/012000c