各国が厳しい新型コロナウイルス対策から経済活動再開へと動き始めた。一方、感染を拡大させた中国への批判も強く、国際政治の緊張が高まっている。『中国が世界を攪乱する――AI・コロナ・デジタル人民元』の著者・野口悠紀雄氏が、コロナ禍の第2幕で何が起こるかを見通す。

■中国の賠償責任を問う声がアメリカで高まる

 新型コロナウイルスの感染拡大の責任は中国にあるとし、巨額の損害賠償を中国に求める動きが広がっています。独仏英は、中国との距離を広げようとしています。

 しかし、中国はこうした動きに反発し、逆に自国の国家体制の優越性をアピールしようとしています。

 コロナ後の世界において、中国は孤立する危険があります。

 アメリカ中西部ミズーリ州の司法長官は、4月21日、新型コロナウイルスの感染を拡大させたとして、中国政府に対し、総額440億ドルに達する損害賠償を求める訴えを連邦地方裁判所に起こしました。

 これに先立って、フロリダ州やテキサス州、ネバダ州などで、個人や企業が中国政府に集団訴訟を起こしていました。

 ドナルド・トランプ大統領は4月17日の言明で、「中国政府の責任は多様な方法で追及されなければならない」と強調しました。

 「その中にはアメリカが受けた被害への賠償金支払いも含まれる」とし、そのための「真剣な調査」を進めているとも述べました。

 トランプ大統領は、4月29日に、中国から新型コロナウイルスが世界に感染拡大した経緯に関して、世界保健機関(WHO)と中国の責任を調査した結果が近くまとまると明らかにしました。

 そして、「新型コロナウイルスの感染拡大に対して、中国に巨額の賠償責任を問う」「この被害はアメリカだけに限らず、世界的なものだ」と述べています。

 アメリカ議会でも中国政府の責任を問う動きが始まっています。ジョシュ・ホーリー上院議員(共和党)は、民主党の下院議員らも加えて超党派で中国政府の法的責任を問い、被害を受けた各国に対して賠償金支払いを求める決議案を上下両院に提出しました。

■中国との関係を見直すドイツ

 同様の動きがヨーロッパにも起こっています。

 発行部数220万でドイツ最大の日刊新聞ビルトは、4月15日、コロナウイルスでドイツが受けた被害への賠償金として、中国政府に対して総額1650億ドルの賠償を請求すべきだとする社説を掲載しました。

 アンゲラ・メルケル首相は4月20日、「中国が新型ウイルスの発生源に関する情報をもっと開示していたなら、世界中のすべての人々がそこから学ぶうえでよりよい結果になっていたと思う」とし、中国が情報を隠したことを批判しました。

 メルケル首相はこれまで中国に友好姿勢を示していたのですが、その姿勢を一転させたのです。

 ドイツ経済は、中国に強く依存しています。とくに、自動車産業がそうです。フォルクスワーゲンの全世界での販売台数のうち、中国が約4割を占めています。

 ただし、それは経済関係に限定されたものであって、ドイツ国民は必ずしも中国に対して好意を持っているわけではありません。

 コロナウイルスによる被害のあまりの大きさに、ドイツ国民の本音が出てきたのだと言えるでしょう。

全文はソース元で
5/22(金) 5:16配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/496aa31aa2652bc7134368b2e583c1745808462d?page=1
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