米商務省は22日、中国新疆ウイグル自治区でイスラム教徒の少数民族ウイグル族への弾圧に関与しているとして、中国の繊維メーカーや人工知能(AI)ベンチャーなど9企業・政府機関に対し、米製品の輸出を事実上禁止すると発表した。米国の安全保障上や外交上の利益に反する事業者のリスト「エンティティーリスト」に追加する。

 米議会上院は14日、ウイグル族の人権侵害に関わった中国当局者への制裁発動を求める「ウイグル人権法案」を全会一致で可決しており、新型コロナウイルス対応や通商分野、香港の自治問題を巡って対立する米中の新たな火種となりそうだ。

 禁輸措置の対象は、ウイグル族を強制労働させている疑惑のある繊維メーカーのアクス・ホアフー・テキスタイルのほか、AIベンチャーの雲従科技(クラウドウオーク)、顔認識AIベンチャーの深網視界(センスネッツ)、通信機器メーカーの烽火通信科技(ファイバーホーム・テレコミュニケーション・テクノロジーズ)など。

 商務省の「エンティティーリスト」に登録された企業に米製品を輸出する場合は米政府の許可が必要となるが、許可申請は原則却下される。同省は昨年10月にも、中国監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)など28企業・政府機関に同じ理由で禁輸措置を発動している。【ワシントン中井正裕】

毎日新聞2020年5月23日 10時52分(最終更新 5月23日 11時04分)
https://mainichi.jp/articles/20200523/k00/00m/030/072000c