2020年06月02日(火)18:55
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石川県の休業要請が全面解除された1日、金沢のナイトクラブでは2か月間にわたる休業期間を終え、営業が再開されました。感染予防策を徹底し万全の態勢での再出発となりましたが、自粛ムードは続き不安もぬぐえないようです。

金沢市片町の高級クラブ「クラブ利恵」。1日午後8時、およそ2か月ぶりに営業を再開し、店内は常連客でにぎわいました。

オープンの1時間前。「利恵ママ」こと上田利恵さんは、スタッフと共に準備に追われていました。入り口に設置されたのは最新鋭のサーモグラフィーカメラ。瞬時に体温が映し出され、37・5度を超える客の入店は断ることに。

店内には次亜塩素酸の噴霧器を設置したほか、男性スタッフは全員フェースシールドを装着。テーブルごとに手指の消毒液も置いています。

利恵ママは「片町に来ることに罪悪感を感じるというか、もう出ているのかと思われることを嫌がる方もいらっしゃるでしょうし、だから一生懸命、とても安全に、これだけ安全にしたことを見に来てくださいみたいに、コロナには絶対打ち勝っていこうという強い思いを持ってやっている」と話しました。

金沢と銀座に8店舗を構えるリエ・コーポレーション。休業期間中、収入はゼロの状況でも家賃などの固定費は変わらず、厳しい状況が続き、業界では店をたたんだり、ホステスを解雇する店も。

「利恵ママ」は、ホステスと従業員合わせて140人の休業手当を立て替えるなどして、雇用を確保したといいます。利恵ママは「1人ずつの力があってお店が成り立っているわけだから、解雇なんてとんでもない。スタッフに守っていただくために、私がスタッフのためにできることは全てしてあげようと」と話しました。

新型コロナウイルスがもたらしたのは、30年以上見つめてきた片町の変わり果てた姿。自粛期間が続き「巣ごもり慣れ」した客が戻ってくるのか、不安な状況が続く中でも「利恵ママ」は希望を持ち続けたいと話します。

「最初は10かもしれない。でも頑張れば、20になるかもしれない。それがまた30になるかもしれない。今まで自粛して一歩も出られなかったことを思ったらお店を開けたことだけでもまずステップが上がった。それだけでもありがたいなって」(利恵ママ)