トランプ米大統領が全米に広がる抗議デモに対して検討する連邦軍動員をめぐり政権内の混乱が表面化した。エスパー国防長官は3日、首都ワシントン近郊に集めた連邦軍の一部退散を命じたが即座に撤回した。デモ隊に対する軍の威圧に固執するトランプ大統領の意向に応じたものだ。「強い指導者」を演出したいトランプ氏が軍を政治利用しているとの懸念が強まっている。

「(11月の大統領)選挙が近づき、国防総省が政治から距離を置くことがとても難しい」。エスパー氏は3日の記者会見でこう漏らした。トランプ氏がデモ暴徒化を抑えるため自らの指揮下にある連邦軍の動員を辞さず強硬姿勢を貫いていることを念頭に置いた発言だ。エスパー氏が現時点で軍動員に反対する意向を示したのは米軍がトランプ氏の大統領再選を支援しているとみなされるのを避ける狙いだった。

複数の米メディアによると、会見後にホワイトハウスを訪れたエスパー氏をトランプ氏は叱責した。エスパー氏は面会前に首都ワシントンの近郊に集めた連邦軍のうち200人を拠点基地に戻るよう命じていたがトランプ氏は撤回を要求。米軍当局者は連邦軍が首都近郊を離れる予定は3日時点でないと説明しており、トランプ氏がエスパー氏を翻意させたことになる。

元国防総省高官は「国防長官が米兵配置に関する決定を数時間で撤回するのは極めて異例だ」と話した。「米軍の政治利用に反対する意向を示したエスパー氏の本気度に疑いを持たざるを得ない」と指摘した。トランプ氏は3日、「法と秩序!」とツイッターに書き込んだ。デモ隊の暴徒化に対して厳しく対処することを改めて強調した。

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日本経済新聞 2020年6月4日 11:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59957710U0A600C2EA2000/