兵庫県宝塚市の住宅街で男が矢のようなものを放ち4人が死傷した事件で、殺人未遂容疑で逮捕された野津英滉容疑者が使用したとされるボーガン。
クロスボウとも呼ばれ、矢を放つ正確さを競うスポーツの用具として販売されているが、悪用される事件は過去にも起きている。

 競技団体「日本ボウガン射撃協会」(東京)によると、ボーガンはアーチェリーなどのように離れた場所から的を狙う競技で、同協会は国際競技連盟にも加盟している。
地域によっては条例で有害器具に指定して18歳未満への販売や所持を禁じているが、成人であれば店で本人確認をする程度で購入できるという。

 本来はスポーツ用品だが、平成25年3月、川崎市宮前区のアパートで、当時19歳の男が母親の頭にボーガンの矢を放つなどして殺害する事件が発生。
27年4月には、茨城県取手市の路上で自転車で通りかかった男性がボーガンで撃たれ、無職の男が殺人未遂容疑で逮捕された。

 同協会の担当者は「協会の会員はルールやマナーを守っているが、悪用されることでボーガンを使用できる射撃場は国内でも数カ所になっている」と話す。

 20年には国会で、銃刀法の改正をめぐってボーガンの規制も議題にあがったが、当時の警察庁幹部は、隠して携帯した場合は軽犯罪法に違反する可能性があるとの認識を示した上で
「ボーガンを使った犯罪の発生状況を踏まえた上で慎重に検討する必要がある」と答えていた。

https://www.sankei.com/affairs/news/200604/afr2006040017-n1.html