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「コロナ退治」の願いを込めた飾り山笠が7月1日、福岡市博多区の櫛田神社にお目見えする。
福岡市の夏祭り「博多祇園山笠」の今年の行事は、来年に延期。これを受け、ほかの13の飾り山笠や
七つの舁(か)き山笠の制作は見送られたが、祭りの「聖地」である同神社だけでも飾り山笠の伝統をつなごうと
関係者が協議を重ねた。阿部憲之介宮司(66)は「停滞ムードを吹き飛ばし、市民に元気を届けたい」と意気込んでいる。

境内の飾り山笠は1949年に始まり、一時途絶えたが、64年から通年公開され、毎年6月に造り直している。
ほかの商業施設や商店街では、祭り期間のみ飾られるのに対し、同神社は唯一の常設。
博多の名所として大勢の観光客が訪れる。

新型コロナウイルスの感染拡大から多くの山笠行事は1年延期となったが、同神社での疫病退散の神事
「祇園大祭」が今年も7月15日に行われることから、阿部宮司が山笠振興会などと協議し、飾り山笠を造ることに決めた。

人形制作は、博多人形師の中村信喬さん(63)と、長男の弘峰さん(34)が今年から担当し、
福岡市中央区の工房で5月下旬から取り組んでいる。テーマは表が「清正公虎退治誉(せいしょうこうとらたいじのほまれ)」、
見送り(後方)は「桃太郎鬼退治誉」で、豪将の加藤清正や桃太郎にコロナ退治の願いを込めた。
2人は「見物客が頑張ろうと思える山笠にしたい」。今の飾りは今月中旬に取り壊し、新装山笠は7月1日から公開予定。
阿部宮司は「神社は誰もが訪れる場で、これまでも地域に貢献してきた。人が密集しない対策をとって公開する」と話した。


飾り山笠の人形作りに励む中村信喬さん(手前)と息子の弘峰さん=4日午後、福岡市中央区
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