自閉症やアスペルガー症候群などの「自閉スペクトラム症(ASD)」に該当する5歳児の割合が、3.22%に上る可能性があると、弘前大(青森県弘前市)大学院医学研究科の斉藤まなぶ准教授(児童精神医学)らのグループがこのほど発表した。2013年に改定された国際的な診断基準に基づく有症率の推計は、国内初という。

斉藤氏は「現場感覚に近い結果で、ASDが決して珍しくないことを示している。早期発見や支援につなげたい」と話している。

調査は13〜16年、弘前市の全5歳児、計5016人の保護者らにアンケートした上で、ASDやその他の発達障害の有無を診断した。

国内では、自閉症の有症率を0.2%とする1996年の調査があるが、調査に応じなかったケースを「症状なし」とカウントしたため、実態とのずれが指摘されていた。今回は統計学を応用し、診断を受けなかった子どもからも有症者の割合を推計した。

調査では、ASDの子どもの88.5%が注意欠陥多動性障害(ADHD)など別の発達障害を併発する傾向があることも判明。米国などではASD患者の割合が年々増加する研究結果があるが、弘前市は調査期間に増加傾向が見られなかった。〔共同〕

2020年6月7日 15:08
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO60082220X00C20A6000000?s=5