コロナ禍で浮かんだ日本の性教育の欠陥 中高生の妊娠相談急増、子ども責める前に考えて
 ▽「歯止め規定」というハードル

 妊娠に関する知識が中高生に欠落しているのはなぜだろう。理由を尋ねると、どの相談窓口の担当者も口をそろえてこう言う。「性教育が不十分だから」

 元高校教員で一般社団法人人間と性°ウ育研究協議会の代表幹事、水野哲夫さんは、ある規定の存在を挙げる。その規定は、文部科学省が最低限の学習内容として定める「学習指導要領」にある。

 一つ目は、小学5年の理科。人間が母体内で成長して生まれることを取り上げる際、「人の受精に至る過程は取り扱わない」との記述がある。二つ目は、中学校の保健体育。思春期における生殖機能の成熟を扱う場合に、「妊娠の経過は取り扱わない」とされている。

 水野さんは「一読して意味を取りづらいが、要するに『性交』を教えないということ」と説明する。これらは教育関係者の間で「歯止め規定」と呼ばれ、性教育を実施する際のハードルになってきた。

 本来は、学習指導要領より進んだ内容を扱っても問題はない。だが、性教育を巡っては、積極的に取り上げようとした教員や学校が「学習指導要領の範囲を超えている」として、これまで政治家らから激しい批判を受けてきた経緯がある。

 ▽寝た子を起こすな

 水野さんによると、もともと日本では戦後、女子の貞操を守るとの観点から「純潔教育」として性に関する教育が始まった。1970年代ごろから「性教育」として研究が進められ、エイズ患者が確認されたこともあり、90年代に性教育への関心が高まった。

 一方で、「過激な性教育はやめろ」「寝た子を起こすな」などと、保守系政治家らによるバッシングも起こった。

 有名な一例が、知的障害のある子どもに人形を使って体の仕組みなどを教えていた東京都立七生養護学校(当時)だ。ある都議が議会で非難し、他の議員や報道機関記者を連れて学校を訪れた。都教委は教師を調査し、停職や減給などの処分を下した。しかし、その後に訴訟になり、一、二審判決は「教育への介入で不当な支配」として都議らに対して賠償を命令。2013年の最高裁決定もこの判断を支持した。

 18年には人工妊娠中絶などを扱った足立区の中学校の授業を、都議が議会で問題視したこともあった。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/e37e267c24053cb84586937f454d861c6becc2ec
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