6/13(土) 13:00配信
河北新報

好調な水揚げが続くビンチョウマグロ=10日午前6時25分ごろ、気仙沼漁港

 宮城県気仙沼市魚市場の5月の水揚げ額が、20年ぶりに20億円を超えた。好調だったカツオ一本釣り船のビンチョウマグロが全体の8割を占め、6月も豊漁が続く。一方で夏の主役・カツオの水揚げはこれからが本番だが、価格や漁獲量の先行きに不安の声も上がる。

 市場を運営する気仙沼漁協によると、5月の水揚げ量は6161トン(前年同月3690トン)で、額は21億9997万円(同6億7238万円)。2000年5月(21億6300万円)以来の水準を記録した。

 今年の5月13日以降は連日、一本釣り船が気仙沼漁港をにぎわせ、1カ月で計70隻が入港。ビンチョウだけで16億円以上に達した。

 ビンチョウの5月の平均浜値は1キロ当たり328円と堅調だ。漁協などによると大半はツナ缶の原料で、加工場のあるタイに冷凍で輸出される。6月11日時点で平均166円と値を下げたが、需要は底堅く依然として水揚げの勢いは衰えない。

 一方、24年連続の生鮮水揚げ日本一を目指すカツオは、漁獲がまだ本格化していない。新型コロナウイルスの影響による飲食店の需要減で値を下げる魚種もあり、ある漁業会社幹部は「どの船も今はビンチョウで稼げるだけ稼ぎたいのが本音だろう」と分析する。

 カツオ漁を巡っては、2年前に各地で発生した寄生虫アニサキスの食中毒被害の影響で下落した価格が、昨季も回復しなかった。新型コロナでテークアウトにかじを切る飲食店も増え、例年通りに外食向け需要が見込めるか不透明な面もある。

 仲買人の一人は「市場にカツオが増えればみんな目の色が変わる」としつつも、「カツオの漁場が近づいても、まとまった量が取れる間は需要が安定したビンチョウ漁が優先されるのではないか」と懸念する。

 漁業情報サービスセンター(東京)によると10日現在、カツオの漁場は伊豆諸島周辺にとどまり、三陸沖での漁場形成にはまだ時間がかかるとみられる。

 漁協の臼井靖参事(56)は「昨年は不漁だったビンチョウが好調なのは良いこと。この後はカツオ、サンマと移り変わるのがいつもの流れ。気仙沼の象徴であるカツオも順調な水揚げを期待したい」と話す。

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