福井県坂井市の東尋坊で昨年10月、東近江市の嶋田友輝さん=当時(20)=の遺体が発見された事件で、殺人や監禁などの罪に問われた彦根市のアルバイトと無職の少年=ともに(19)=の裁判員裁判の論告求刑公判が16日、大津地裁(大西直樹裁判長)であった。検察側は「残酷極まりない犯行態様」とし、アルバイト少年に不定期刑の上限の懲役10年以上15年以下を求刑し、無職少年には懲役7年以上12年以下の不定期刑を求刑した。

 検察側は論告で、2人は犯行を主導したとされる長浜市のとび職元少年(20)=当時(19)=に同調し、直接的な恨みがないにもかかわらず、嶋田さんに激しい暴力を加え、心身を追い詰めた末に東尋坊から飛び降りさせたとし、「残酷極まりなく、経緯にくむべき事情はない」と強調。アルバイト少年は率先して嶋田さんを痛めつけ、周囲にも暴行をあおるなど元少年に準じる役割を果たし、無職少年も強制されずに加担したとし、「2人とも行為の危険性は認識していた。年齢も成人に近く、少年としての考慮にも限度がある」と指摘した。
 論告の前に嶋田さんの母親が意見陳述し、「友輝は優しく暴力を振るわない子だったが、もう抱きしめることも叱ることもできない。被告人には自分の責任を認め償ってほしい」と厳罰を訴えた。
 起訴状によると、2人はとび職元少年ら5人=殺人罪などで起訴=と共謀。昨年10月17〜18日、長浜市で嶋田さんの脚を車でひくなどして車のトランクに閉じ込め、東尋坊に向かい、18日夜、崖から飛び降りさせ、脳挫滅で死亡させた、などとしている。
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