大阪市を廃止し、4特別区に再編する大阪都構想を巡り、自民党大阪府議団は16日、大阪府・市の法定協議会で19日に採決される制度案に賛成すると表明した。広域行政の一元化など都構想の理念に理解を示す議員が増え、従来の姿勢から転換した。同党市議団は一貫して反対しており、党内で態度が割れる異例の事態になる。11月1日の実施が有力視される住民投票の結果にも影響を与えそうだ。

 府議団の杉本太平幹事長は記者会見し、「権限、財源、人員が府に移れば大阪市の住民サービスが下がる可能性は高いが、スピード感を持って意思決定できるようになる」と述べた。

 自民は都構想が否決された前回の住民投票で反対運動を主導。昨年12月の法定協議会で制度案の方向性を問う採決時も、反対に回っていた。しかし、府議団内には「大阪全体のメリットを優先すべきだ」などという賛成意見も根強く、府連が調整に乗り出していた。

 府議団は16日の会合で所属16人に改めて賛否を尋ねたところ、大阪市内の選出議員は反対を主張したが、賛成意見が多数だったという。市議団の北野妙子幹事長は記者団に「本当に残念でならない。四面楚歌(そか)の状態だが、市議団の賛否が変わることは1ミリもない」と話した。

 19日の採決では、大阪維新の会所属の会長(府議)を除く委員19人のうち、維新(10人)と公明(4人)に加え、自民府議団(2人)も賛成に回ることで可決が確実な情勢になっている。自民市議団(2人)と共産(1人)は反対する見通し。【石川将来、矢追健介、野田樹】

毎日新聞 2020年6月16日 21時22分(最終更新 6月16日 21時22分)
https://mainichi.jp/20200616/k00/00m/040/278000c