自民党の河井案里参院議員の公設秘書に対する16日の広島地裁判決。注目された量刑は懲役1年6カ月執行猶予5年で、連座制適用による案里氏の当選無効の可能性が出てきた。裁判では前法相で案里氏の夫、克行氏の関与にも言及があり、地元広島の政界からは夫妻に説明を求める声などが相次いだ。

 「被告人を懲役1年6カ月に処する」

 案里氏の公設秘書立道(たてみち)浩被告(54)は黒いスーツに黄色のネクタイ姿で入廷し、時折うなずきながら判決を聞いた。裁判長が閉廷を告げると周囲から一瞬遅れて立ち上がり、深々と頭を下げた。裁判所を出ると、記者の呼びかけには応じず、弁護団とともに無言で足早にタクシーに乗り込んだ。

 案里氏の当選を無効とする可能性のある判決が出たこの日、案里氏と克行氏が自民党を離党する意思を固めた、と報じるニュースで地元・広島政界に衝撃が広がった。

 昨年の参院選で案里氏とともに出馬し、落選した自民現職(当時)の溝手顕正・元国家公安委員長を支援した自民の元県議は「昨秋から疑惑が持ち上がっていたのに、離党するのが遅すぎる」と批判した。

 自民県連は参院選で溝手氏への候補者一本化を望んだが党本部が案里氏を追加公認。同一選挙区で2議席独占を狙う激戦となった。県連副会長の中本隆志・県議会議長は党本部の対応を「2人擁立は無理と言ったが無視された」と語り、案里氏秘書の有罪判決に対し「一言で言えば、『だから言ったでしょ』だ」と突き放した。

 参院選で案里氏を推薦した公明党の県本部代表、田川寿一県議も「なぜ離党届を出さなければいけないのかを含め、公の場でしっかりご夫妻で説明すべきではないか」と注文を付けた。

 国民民主党県連幹事長の福知基…(以下有料版で、残り906文字)

朝日新聞 2020/6/16 22:18
http://www.asahi.com/articles/ASN6J74R8N6HPTIL029.html?ref=tw_asahi