新型コロナウイルスの影響で在宅勤務などが定着するなか、スマホアプリ別の利用時間に差が出ている。データ分析のアップアニージャパン(東京・千代田)によると、5月は動画配信の利用時間が前年同月比70%増だったのに対し、ゲームは30%増にとどまった。

教育、ゲーム、娯楽系(主に動画配信)などの国内スマホアプリの利用時間を調べた。在宅学習の拡大により、オンライン英会話などの教育向けは95%増えた。ゲームの伸び率の低さが目立つ。

ゲームアプリが伸び悩んだ一因は利用時間の特性だ。ゲームは電車通勤中などの「すきま時間」で遊ぶ人が少なくない。在宅勤務が浸透しつつあるなか、移動時間が減少し、ゲームの利用減につながったアプリもあるようだ。

ゲーム業界に詳しいエース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは「利用者はアプリをダウンロードしても課金まで至らなかった」と話す。スマホゲーム会社は有料電子くじ「ガチャ」の課金で稼ぐ。利用時間の伸び悩みに伴い、ゲームアプリの5月の課金収入も前年同月比2割増にとどまった。教育(65%増)や動画配信などの娯楽(70%増)と対照的だ。

緊急事態宣言の解除で人の流れは戻りつつあるが、在宅勤務の対応は企業によって分かれ、スマホゲームを支えてきた「すきま時間」が増えるかどうかは不透明だ。ゲーム各社がコロナ後を見据え、どう対策を打つのかも焦点になる。

日本経済新聞 2020年6月19日 18:47
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60572190Z10C20A6EA5000/?n_cid=SNSTW001