理化学研究所や神戸大などのチームは、開発中の次世代スーパーコンピューター「富岳ふがく」を使い、オフィスや電車内で飛沫ひまつが拡散する状況などを予測した結果を公表した。新型コロナウイルス対策として、オフィスでは頭の高さまである仕切り板が必要だとした。


 オフィスで4人が2人ずつ向かい合って座ることを想定。口の位置にあたる、床から120センチの仕切り板を置いても、1人が強いせきをすると向かいの席の人に多量の飛沫がかかった。140センチ以上あれば、直撃を避けられ、飛沫量は10分の1以下に減った。隣の席や斜め向かいに座ると、飛沫がかかる量が少ないこともわかった。飲食店にも応用できるという。

 電車内では、窓を左右2か所ずつ20センチ開けると、車内上部の空気に流れが生じて換気が進み、窓を閉めている場合より2〜3倍速く空気が入れ替わった。一方、混雑が増すと、低い位置での換気効率は下がった。

 湿度による予測では、梅雨などの湿った時期は飛沫が蒸発しにくいことを確認。机の上などに付着しやすくなり、机を共有することなどで感染リスクが増すことに注意が必要という。

 理研の坪倉誠チームリーダーは「今後は病院や学校の教室などを対象に、感染リスクを下げるためのポイントを示したい」と話す。

読売新聞 2020/06/21 05:58
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200620-OYT1T50235/?r=1