政府は22日、原子力防災会議(議長・安倍晋三首相)を開き、東北電力が再稼働を目指す女川原発(宮城県女川町、石巻市)で重大事故が起きた際の半径30キロ圏内の住民避難計画を了承した。広域避難の手段に加え、被ばく防護措置と新型コロナウイルスなど感染症拡大防止策を両立させる方策も盛り込んだ。原発の避難計画に感染症対策を反映させるのは全国で初めて。
 重大事故時に即時避難を求める5キロ圏内の予防的防護措置区域(PAZ)の石巻市と女川町、牡鹿半島南部と離島の準PAZ、空間放射線量率の状況に応じて避難する5〜30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の石巻、登米、東松島、女川、涌谷、美里、南三陸7市町の3区分で対応する。
 住民計約19万9000人が対象となる。広域避難先は全て宮城県内に確保し、避難元の地域ごとに詳細な手段や経路を設定した。
 感染症対策としては、感染者とそれ以外の人で避難車両や避難所を別にするほか、車両内や避難所では密集の回避を求める。屋内退避時は被ばく防護のため、原則換気は行わない。
 安倍首相は席上、「複合災害に備えた重層的な避難手段を確保する必要がある。関係自治体と連携しながら訓練を通じて継続的に検証、改善したい」と述べた。

2020年06月23日火曜日
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