政府は2021年度予算で各省庁が財務省に予算要求する際のルールとなる概算要求基準(シーリング)について、前年に続き歳出総額の上限設定を見送る方向で調整に入った。新型コロナウイルスの感染状況や、国内景気の動向が見通せないためだ。

 既存事業のカットを前提に、成長が見込める分野に予算を重点配分する「特別枠」制度もなくし、各省庁が必要と判断した事業の予算はすべて要求させる。

 新型コロナへの緊急対応で、20年度は2回にわたって補正予算を組んだ。21年度予算編成でも、雇用の確保や企業の資金繰り支援、医療体制の整備などに全力を挙げる必要がある。

 政府は各省庁が無理に支出を抑制しないよう、21年度も、歳出総額の上限を示して全体の予算削減を目指す手法は取らない。さらに、「特別枠」などのルールも棚上げし、新型コロナの感染状況や経済情勢を見極めながら査定する方針だ。

 麻生財務相は今回の概算要求基準について、「できる限り簡素なものにする」と説明している。財務省は7月に概算要求基準を示し、9月末までに各省庁が要求を提出する。

読売新聞 2020/06/29 15:41
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