専門家からも出た「スピード世界一」への疑問

この仕分けの議論は一時間半ほどかかった。議論の後半の大部分は世界一を目指す意義についてだった。「なぜ2位じゃダメなのか」という趣旨の質問は、蓮舫議員だけではなく他の「仕分け人」からも同様の意見が出されていた。しかも、指摘をしていた仕分け人の中には、スパコンの利用者側の立場でもある金田康正氏(当時東大教授)や松井孝典氏(東大名誉教授)らもいた。決して「素人の思い付き」で進んでいたのではなく、専門的視点も含めての議論であった。

また、仕分け人側が言いっぱなしだったのではなく、文科省に回答を求めていたが、その時の文科省の答えは「最先端のスパコンがないと最先端の競争に勝てない」「世界一を取ることにより国民に夢を与える」など定性的、情緒的なものばかりでかみ合わなかった。スパコンという「道具」を使うことで、どのような研究成果を期待しているのか、スピードで世界一を取ると、具体的にどのような変化があるかについては、再三の質問の中でも答えは返ってこなかった。

https://news.yahoo.co.jp/byline/itoshin/20190909-00141136/