【ワシントン=中村亮】米国防総省のホフマン報道官は30日の声明で、トランプ大統領がドイツ駐留の米兵9500人の再配置案を承認したと明らかにした。「ロシアに対する抑止力を高めるものだ」と説明しており、東欧諸国やバルト3国に駐留を増やす可能性がある。

エスパー国防長官と米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が29日にトランプ氏と面会して駐独米軍の再配置を協議した。声明は再配置に関して「北大西洋条約機構(NATO)を強化し、米軍の戦略的な機動力を高める」と強調した。トランプ氏は一部の部隊をポーランドに移す考えを示唆していた。インド太平洋地域に再配置する可能性もある。

声明は黒人差別反対運動をめぐる対応で亀裂が深まったトランプ氏と米軍の関係修復をアピールする狙いもありそうだ。トランプ氏はデモ鎮圧に向けて米軍動員を辞さない構えを見せて、米軍が反対していた。一時はエスパー氏の解任を検討していたとされる。

日本経済新聞 2020/7/1 7:45
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61007510R00C20A7EAF000/