高さ100メートルを超すタワーマンションが幾本も、梅雨の曇り空に向かってそびえ立つ。朝、玄関から出てきた住民たちが、3、4分おきに通りかかるバスの座席を次々と埋めていく。

 東京湾を埋め立てて造成された東京都中央区・勝どき地区。工場や倉庫が立ち並んでいた街はこの20年でマンション群に一変した。地元町会長の山内栄一郎さん(76)は「子どもが増えて活気が出た」と喜びつつ、「こんなに増えるとは思わなかった」と狭くなった空を見上げた。

 中央区の人口は、1990年代に7万人台だった。マンションの容積率が90年代から緩和されると、臨海部を中心に建設が相次ぎ、区内のタワマンは62棟を数える。都営地下鉄の勝どき駅も誕生し、都心のオフィス街への近さが人気で、区の人口は今年4月、17万人を超えた。

 一方で、地元はインフラ整備に追われ続けてきた。

 勝どき駅の乗降客数はこの20…

020年7月2日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN717HTNN6VUTIL04H.html?ref=tw_asahi
https://www.asahicom.jp/articles/images/c_AS20200701005252_comm.jpg