記録的な大雨で、川の氾濫や土砂崩れが相次いだ熊本県では、これまでに2人が死亡したほか、16人が心肺停止、1人が重体、7人が行方不明となっています。このうち14人が心肺停止となっている球磨村の高齢者施設では、取り残された高齢者の救助が夜を徹して進められているほか、行方不明者の捜索も続けられています。

記録的な大雨で、熊本県では、球磨川など2つの川の11か所で氾濫したほか、人吉市では球磨川の堤防が決壊し、いずれも広い範囲が水につかりました。

また、芦北町や津奈木町など各地で土砂崩れの被害も相次ぎ、芦北町で80代の女性が死亡したほか、津奈木町で80代の男性が死亡しました。

熊本県などによりますと、さらに球磨村の高齢者施設で14人が心肺停止、芦北町で2人が心肺停止、1人が重体となっているほか、芦北町で4人、津奈木町で2人、人吉市で1人が行方不明となっています。

このうち、球磨村の渡地区にある特別養護老人ホーム「千寿園」では、川の水があふれて水につかり、入所者などの高齢者およそ50人と施設のスタッフが取り残され、このうち14人が心肺停止となっています。

県によりますと、取り残された高齢者の中には、体調のすぐれない人もいるということで、自衛隊が夜を徹して高齢者の救助を進めていて、救助されしだい、順次、病院に搬送されるということです。

また、大規模な土砂崩れで複数の住宅が被害を受け、2人が心肺停止、1人が行方不明となっている芦北町の田川地区では、行方不明者の捜索が夜を徹して行われています。

このほか、相良村では、4日午後の時点で、道路が寸断されるなどしておよそ20の地区で孤立状態となり、熊本県は、自衛隊の派遣を要請して、できるだけ早く孤立状態の解消を目指したいとしています。

■「千寿園」救助された人たちは…

川の水があふれて水につかり14人が心肺停止となった熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の近くでは、施設につながる道路が冠水し、消防や自衛隊がボートを使って取り残された人たちを次々に救助していました。

救助された人たちは疲れた様子でことばもなく、隊員に抱きかかえられながら車に乗っていました。

救出された91歳の堤正通さんは3日からショートステイで夫婦で施設を利用していて「救助してくれてありがたかった、本当に怖かったです」と話していました。

迎えに来ていた息子の俊介さんは「施設に連絡してもつながらず状況が全くわからなかったので心配でした」と話していました。

救助に当たっていた自衛隊員によりますと「施設にはまだ30人以上取り残されている。今晩中に全員救助したい」と話していました。

2020年7月5日 5時37分
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