7/5(日) 19:57
毎日新聞
報道機関も弾圧対象か フィリピンで反テロ法成立 令状なし逮捕が可能に
「反テロ法」に抗議する市民ら=フィリピン・マニラで4日、AP
フィリピンで治安当局の権限を拡大する「反テロ法」が3日、ドゥテルテ大統領の署名により成立した。政権は反政府勢力の取り締まり強化が目的と強調するが、人権団体などは政権に批判的な人を抑圧する手段になるとして反対していた。最近はドゥテルテ氏に批判的な報道機関への圧力も顕著で、強権的な姿勢に拍車がかかる懸念がある。
反テロ法は2007年に制定された「人間の安全保障法」に代わるもので、警察など治安当局の権限を強化する内容。対象をテロの実行者や共謀者だけではなく、文書などでテロを扇動した者にも広げた。また、裁判所の令状なしに容疑者を逮捕、拘束できる期間もこれまでの3日から最長24日とした。
フィリピンでは南部ミンダナオ島を中心にイスラム過激派組織が活動を続けるほか、一度は停戦合意したフィリピン共産党勢力との関係も悪化している。こうした状況から政権は権限強化の必要性を訴えてきた。
一方、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、治安当局が法律を恣意(しい)的に運用できると指摘。声明で「大統領を不快にさせた人や組織の代表者を恣意的に拘束したり、長期刑を下したりすることにつながる」と非難した。
マニラ首都圏では6月、新型コロナウイルスの感染拡大で行動制限措置がとられる中、反対派がデモで抗議したが、成立を急ぐドゥテルテ氏が押し切った。
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