日本航空の成田―米サンフランシスコの旅客便が1日、約10年ぶりに復活した。同路線は2010年10月に羽田発着に移管され、休止の状態が続いていた。当初は3月29日に運航を開始し、1日1往復の予定だった。新型コロナウイルスの影響で約3カ月遅れて就航し、当面、週2往復する。

 華やかな記念式典の開催は見送られ、静かな雰囲気での初便となり、旅客45人に記念品と手書きのメッセージカードが配られた。搭乗口には感染防止対策のためビニールシートが張られ、地上旅客係員はフェースシールドとマスク姿で対応した。

 京都市の研究者、岸本逸平さん(38)は3歳の長男や生後11カ月の長女ら家族5人で乗り込んだ。現地で2、3年、研究生活を送る予定で、「当初は4月に行くはずだった。待っている期間はなかなか仕事が進まず、ようやく行けるという思い。少し怖さはありますが、感染防止対策に努め、日本では得られない医学研究の成果を持ち帰りたい」と話した。

 同路線は1954年に羽田―ホノルル―サンフランシスコ線に開設された戦後初の国際定期便が始まりで、歴史ある特別な路線と位置付けられている。日航は3月の就航を延期し、貨物需要に応えるため5月6日から旅客機仕様の貨物専用便として運航していた。

 国際線全体の約9割を運休、減便している日航は1日、休業中だったラウンジ(特別待合室)を再開した。今後、需要動向を見据え、ほかの路線も徐々に復便する。【中村宰和】

毎日新聞2020年7月6日 12時01分(最終更新 7月6日 12時06分)
https://mainichi.jp/articles/20200706/k00/00m/020/036000c