政府は地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画断念に伴い、ミサイル防衛の代替策として海上自衛隊イージス艦を2隻増やす検討に入った。複数の政府関係者が明らかにした。ただ、海自は慢性的な人員不足で、人員確保が課題となる。

 イージス艦は来年3月、政府が目指してきた8隻態勢が整う。河野太郎防衛相は先月16日の衆院安全保障委員会で、イージス・アショアの配備計画断念を踏まえ、「イージス艦を増やす選択肢が考えられる」と述べ、さらに追加を検討する考えを示していた。


 日本海に2隻展開すれば、北朝鮮から日本のほぼ全土に飛来する弾道ミサイルを迎撃の射程に収める。防衛省幹部によれば、イージス・アショア向けに契約した米国製のイージスシステムやレーダーをイージス艦に転用できれば5〜6年後にも艦の新造が可能で、支出も無駄にならない。

 一方、2隻で計4千億円近い建造費がかかる上、計約600人の乗組員が必要となる。艦艇の洋上展開は悪天候の影響も受けやすく、山村浩海上幕僚長は「イージス・アショアのようなイージス艦に代わるものを引き続き要望していく」と語っている。

 24時間365日警戒するためには交代用に別の2艦が必要で、東シナ海などでの警戒監視活動が手薄になる懸念も出ており、国防計画の見直しが必要となりそうだ。

産経新聞 2020.7.6 22:00
https://www.sankei.com/politics/news/200706/plt2007060052-n1.html