きょうは七夕。伝説によれば、天の川を挟んで輝く「織り姫星」と「ひこ星」が1年に1度、会うことを許された日だ。たくさんのカササギが翼を連ねて橋をかける▼二つの星は実際には、約15光年離れているそうだ。光のスピードで移動できたとしても15年かかる。想像できないほどの遠距離で隔てられている▼こちらの距離は、すっかりおなじみだろう。新型コロナウイルス禍でのソーシャル・ディスタンス(社会的距離)である。感染防止のための新しい生活様式では、人との間隔は約2メートル空けることが推奨されている▼ユニークな啓発や実践も次々に登場している。人と人との間に、カササギならぬ寝転んだキングペンギン2羽や、パンダ1頭を描いて2メートルを表現した世界自然保護基金ジャパンのイラストはインターネットで話題になった▼愛知や埼玉県などの小学校は登下校時に、雨傘や日傘を差す取り組みを始めた。互いの距離を確保しながら熱中症対策にもなるアイデアだ。座席の間隔を空けたコンサートやスポーツ観戦も広がりつつある。「ウィズコロナ」の模索が続いている▼とはいえ、花火大会や祭りなど密集や密接が避けられない催しの中止も相次ぐ。ワクチンや治療法の確立が待ち遠しい。「どうかコロナ以前の社会に戻りますように」―。七夕に寄せて願いをかけようか。
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