自民党は7日の政調審議会で、中国の習近平国家主席の国賓来日について、中国による香港統制を強める「香港国家安全維持法」の制定を受けて「中止を要請せざるを得ない」とする決議を了承した。表現を弱めたものの、焦点となった「中止を要請」の文言は、維持を求める党内世論を根拠に残った。仲裁した岸田文雄政調会長には「ポスト安倍」を見据えて指導力を示す機会になったが、対中関係の悪化を危惧する二階俊博幹事長との溝は深まり、来年9月までにある党総裁選へ課題を残した。

 決議では同法の施行に合わせて香港で大量の逮捕者が出るなど香港の「一国二制度」が危機にさらされているとし、中国に対し「国際社会との約束を守り、大国としての責任を自覚する」よう強く要求した。新型コロナウイルスの感染拡大で延期中の習主席の国賓来日について政府に「中止を要請せざるを得ない」とした。

 原案では「中止を要請する」との文言だったが、二階氏の意向を踏まえ「日本、国際社会から懸念が表明されている現状において」と条件を付けるなど表現を弱めた。党の総意ではなく外交部会・外交調査会の見解だとも明記した。「新たな時代の友好関係構築に向け」との未来志向の文言も挿入され、今後の関係改善に向けた余地も残した。

 決議を巡っては、部会役員会で原案をまとめた3日、二階氏サイドが…(以下有料版で、残り550文字)

毎日新聞 2020年7月7日 19時59分(最終更新 7月7日 19時59分)
https://mainichi.jp/articles/20200707/k00/00m/030/254000c