香港政府の教育局は8日、学生・生徒が学校で一切の政治的な活動に関わることを禁止した。歌を歌うこと、スローガンの掲示、授業のボイコットも禁じた。

香港で昨年来繰り広げられた民主化運動には、未成年の子供も大勢が深く関わった。時には暴力的にもなった抗議行動に参加したことで、計約1600人の未成年者が逮捕された。

多くの学生・生徒が学校で民主化デモへの支持を表明した。中国の国歌が流れると、抗議歌「Glory to Hong Kong(香港に栄光あれ)」を歌ってかき消した。

香港教育局の楊潤雄(ケビン・ヨング)局長は、そうした行為を学校は徹底してやめさせなくてはならないと指示している。

ロイター通信によると、楊氏は、「香港に栄光あれ」について、「何カ月も続いた社会的、政治的な出来事、暴力や違法行為が絡んだ事件と密接に関係している」と述べた。

その上で、「学校は生徒がこの歌を演奏、歌唱、放送することを認めてはならない」と話した。

当局はこの他、大勢が手をつないで「人間の鎖」を作ることや、スローガンを唱えること、政治的なメッセージを発することを学生・生徒に禁止した。
言論など取り締まる動き

香港ではこの日、中国政府の治安機関「国家安全維持公署」が新設された。

同機関は、中国政府反や香港政府に対する憎悪をあおる行為を違法とする、香港国家安全維持法(国安法)の施行を受けたもの。

国安法をめぐっては、高度な自治の下での自由が侵害されるとの警戒感が香港で広がっている。これに対して治安当局は、暴力的な抗議行動で損なわれた安定を回復できるとしている。

全文ソース
https://www.bbc.com/japanese/53344137

■参考
中国政府、香港に治安維持機関を新設 国安法で
https://www.bbc.com/japanese/53330198
【解説】 香港の「国家安全法」 なぜ人々をおびえさせるのか
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53259691
香港の図書館、民主活動家の本を撤去 「検閲」批判も
https://www.bbc.com/japanese/53304666