12日に退任する神戸市の寺崎秀俊副市長(51)が9日、神戸新聞社のインタビューに応じた。久元喜造市長に続く総務官僚として2018年4月に就任し、教育や子育て分野などを担当。新型コロナウイルス感染症対応の検証も統括した。故郷での2年3カ月を「街の活性化に向けた変革の時期だった」と振り返り、都市戦略の強化を訴えた。13日付で総務省自治税務局企画課長に着任する。(聞き手・石沢菜々子)

 −就任からを振り返って。

 「総務省時代に東京から帰省すると、変わらぬ街並みがうれしかった。だが、行政の目で見れば何も変わってないということ。震災後の財政再建を経て、ようやく将来への投資に着手できた。新型コロナのような予期せぬ出来事が起きる時代に、計画がどう適合していくかなど課題は大きい」

 −教育では、東須磨小学校の教員間暴行・暴言問題など不祥事が相次いだ。

 「『学校で起きたことは学校で解決する』という思考が強い。SOSが発信しにくく、コミュニケーションが必要だと感じた。教育委員会も学校も『神戸の教育を良くしよう』という人の集まり。今回の改革でうまく歯車が回ってほしい」

 −新型コロナの対応は。

 「特に難しかったのは、4月の学校再開を巡る判断。ぎりぎりまで状況を見極め、学校には再開の準備を進めてもらいつつ、結局は感染拡大を踏まえて休校の延長を決めた」

 −久元市長のツイッターも混乱の一因になった。

 「短いメッセージで伝えるのは難しい。ただ、首長の言葉を直接伝えることは有効だ。市長の発信にどのような受け止めがあるのかという反応を見られた。学校再開の判断で、一つのバロメーターになった」

 −人口減少も課題だ。

 「コロナ禍で東京に住むメリットがなくなり、神戸の強みが訴えやすくなった。都心・三宮から30分圏内に豊かな里山地域や六甲山があり、企業や大学も含めた資源が集中する。神戸が輝かなければ、兵庫県の隆盛はない。都市間競争に勝つには、市長のリーダーシップと庁内で議論できる雰囲気が不可欠だ」

時計2020/7/10 09:12神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202007/0013496667.shtml