熊本県南部の被災地を日帰りの駆け足で訪問した安倍晋三首相。
被災者は「国のトップの目で惨状を見てもらいたかった」と苦境の中でも歓迎したが、
閣僚や与党幹部の相次ぐ受け入れは、被災自治体の負担になっている。
専門家は「実のある視察のあり方を考えるべきだ」と指摘する。

(中略)
ただ、被災自治体にとっては、本来復旧に充てる人員を説明や警備に割くことになり、「迷惑だ」との声も常に上がる。
新型コロナウイルスの感染拡大で移動に不安が広がる今回の災害はなおさらだ。

 官邸は批判があるのを意識し、首相入りの日取りや行程を詳細に検討。一度は11日に設定したが、現地の受け入れ態勢が十分でなく先延ばしした。
それでも、この日の受け入れ業務を担当したある自治体職員は取材に「大人数で来られるし、大変です」と打ち明ける。

 「うちの大臣も行きたがっているが『今は現地の邪魔になります』と必死で止めている」(ある省庁の幹部)、「選挙応援が真の目的の場合もある」(与党幹部)…。
広瀬弘忠東京女子大名誉教授(災害リスク学)は、こうした現状に異を唱える。「人数や回数を絞る一方、じっくり時間をかけて見て回る視察も必要だ」

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/625889/