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アゼルバイジャンとアルメニアの間で軍事的緊張高まる

領土問題を抱える旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアの間で軍事的な緊張が高まり、3日間続いた砲撃によって双方に死者が出る事態となっています。

1991年のソビエト崩壊後、アゼルバイジャンとアルメニアはアルメニア系住民が多いアゼルバイジャン領「ナゴルノ・カラバフ自治州」の帰属をめぐって武力衝突し、1994年に停戦に合意したあとも紛争状態が続いています。

双方の国防省などによりますと、今月12日、国境付近で互いの軍事施設を狙った砲撃が再び始まり、14日までにアゼルバイジャン側に11人、アルメニア側に少なくとも2人の死者が出たということです。

双方は、相手側が先に攻撃してきたと非難し合い、砲撃が始まった詳しいいきさつは明らかになっていません。

アゼルバイジャンのアリエフ大統領は13日、「アルメニアによる軍事的挑発だ」としたうえで、「原則的な立場を譲るつもりはない」と強硬な姿勢を示しました。

「ナゴルノ・カラバフ自治州」の帰属をめぐる紛争ではこれまでトルコがアゼルバイジャンを、ロシアがアルメニアをそれぞれ支持してきており、ロシアを中心に旧ソビエトの6か国が加盟するCSTO=集団安全保障条約機構は14日、声明を発表し、双方に自制を求めました。

トルコ外相「アルメニアの行動容認できず」
これについてトルコのチャウシュオール外相は13日、「アルメニアが行ったことは容認できない。アルメニアは新たな紛争地を作り出すことにより、これまでの係争地の問題から人々の関心をそらそうとしている」と非難したうえで、「トルコはアゼルバイジャンとともにある」と述べ、アゼルバイジャンを支持する姿勢を強調しました。

トルコは国境を接し、キリスト教徒が大半を占めるアルメニアとは歴史問題や領土問題で対立し、国交がありませんが、民族や言語で共通する点がありイスラム教徒の多いアゼルバイジャンとは親密な関係にあります。

2020年7月15日 5時31分 NHK