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英ヴァージン航空、株主や債権者が1600億円支援

【ロンドン=篠崎健太】新型コロナウイルスの影響による運航停止で経営難に陥った英ヴァージン・アトランティック航空は14日、株主や債権者などから総額12億ポンド(約1600億円)規模の金融支援を受けると発表した。当面の資金繰りをつないで2022年に黒字転換をめざす。旅客需要の正常化は見通せず、厳しい経営環境は続きそうだ。

支援策は融資や債務の負担軽減が柱だ。51%を出資するヴァージン・グループが2億ポンドを拠出するほか、49%出資する米デルタ航空とともに計4億ポンドの債務の返済猶予や免除に応じる。米投資会社が1億7000万ポンドを融資する。外部の債権者から計4億5000万ポンドの返済を繰り延べることも認められた。

詳細な条件は明らかにされていないが、広報担当者によると、ヴァージン・グループとデルタ航空の出資比率は実施後も変わらないという。

米欧間の大西洋路線が主力のヴァージン航空は3月以降、新型コロナによる渡航制限で大半の旅客便が運休に追い込まれた。資金繰りが窮地に陥り、創業者でヴァージン・グループを率いる英実業家リチャード・ブランソン氏が対応に奔走してきた。英政府に公的支援を訴えていたが、民間主導の枠組みで経営破綻の回避にメドをつけた。

ヴァージン航空のシャイ・ワイス最高経営責任者(CEO)は声明で「財務健全で持続的に利益が出せる航空会社として復活させる」と意気込みを示した。人員削減や保有機体数の見直しなどによるスリム化も図り、22年の黒字化を目標に掲げている。

20年4〜6月期は前年同期比98%の減便を余儀なくされ、年後半も輸送能力は前年比で少なくとも6割減が見込まれるという。経営破綻は回避したものの、新型コロナの感染収束が見えないなかで再建の道はなお険しい。

2020年7月15日 5:34 日経