森友学園への国有地巨額値引きを巡る公文書改ざんで命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さんの妻、雅子さんに対し、安倍首相の妻、昭恵さんが、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で「いつかお線香あげに伺わせてください」と伝えていたことが分かった。

 安倍昭恵さんは6年前、森友学園が小学校開設を目指していた国有地を、籠池泰典理事長(当時)夫妻と訪れ、「いい土地ですね」と述べて3人で記念撮影をしたことが知られている。籠池氏がこの写真を近畿財務局に見せると、対応ががらりと変わったという。

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 夫の死を招いた公文書改ざんの原点に、昭恵さんがいると感じた雅子さんは、昭恵さんに手紙を送った。さらにLINEがつながった上で「赤木雅子です。お返事いただけましたらうれしいです。よろしくお願いします」というメッセージを送った。

 すると昭恵さんから「お手紙のお返事をせず、申し訳ありません。ご主人様のご冥福を心よりお祈り申し上げます」と返事が届いた。昭恵さんからの返事はこれが初めてだった。

 雅子さんがすぐに「お手紙読んでいただきましたでしょうか」と送ると、「はい」と一言返ってきた。雅子さんは「どうお感じになられましたでしょうか」と返したが、これには返事がなかった。

 そこで雅子さんはもう一度手紙を送り、LINEの返事がうれしかったと伝えた上で再び送信。「コロナやいろんなことがおさまったら、ぜひ神戸の自宅にお越しください。夫が喜ぶと思います」

 すると返事が来た。「お手紙ありがとうございます。ラインがご本人かも確信がなく、内容がマスコミに報じられるのではないかと疑っていました。いろいろなことが重なり、人を信じられなくなるのは悲しいことですがご理解ください」

 この前月、コロナ禍の中、昭恵さんが大分旅行をしていたことが週刊誌で報じられ批判を浴びたばかりだった。

 雅子さんは返信した。「感激です。大変な中お返事をありがとうございます。昭恵さんの温かいお人柄は素敵(すてき)な笑顔から分かりました。マスコミの報道に負けないでください! お返事はご無理なさらないでください」

 すると昭恵さんをモデルにしたスタンプとともに、「いつかお線香あげに伺わせてください」という返事が来た。雅子さんが「ありがとうございます。夢のようです」と返すと、「雅子さんもどうぞお元気で!」と返ってきた。

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 ところが、その後は返信が来なくなった。雅子さんは9日、昭恵さんにLINEを送った。

 「7月15日の裁判に合わせて本を出します。その本の中で、昭恵さんとのLINEのことも出させていただきました。ぜひ本を読んで、夫のことを知っていただきたいです。そうすれば本当のことを話すべきだと、感じていただけると思ったからです」

 本とは『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』のこと。メッセージは既読になったが返事はない。

 一連のやりとりについて雅子さんは「昭恵さんも男社会の頂点にいる夫の妻として一生懸命だったんだろうけど、首相夫人として法廷で真実を話してほしい。『お線香あげに伺わせてください』という約束は、亡き夫が喜ぶだろうからぜひ実現してほしい」と話している。



昭恵さんから届いたLINE(赤木雅子さん提供)
https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/200718/images/IP200717TAN000036000_01.jpg


大阪日日新聞 2020年7月18日
https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/200718/20200718035.html