7/24(金) 8:38
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Web東奥

 「感染について私があれこれ言われるのは仕方ないのかもしれない。しかし“犯人捜し”のため全く関係ない人を巻き込むのはやめてほしい。感染者を特定して何が解決するのか」

 コロナ感染者に対する誹謗(ひぼう)中傷、風評被害が県内でも後を絶たない。東奥日報取材に応じた新型コロナウイルスに感染した男性も、ネットの掲示板や直接の電話、手紙で非難されたが、「一番つらかったのは、全く関係のない多くの会社や団体に私との関係を問い合わせる電話があったこと。自分と関わりがある会社は電話が鳴りっぱなしで業務に支障を来したそうだ」と振り返る。

 男性が入院中、職場にはコロナ感染者かどうか探りを入れたり「ばか野郎」などと非難したりする電話や、無言電話が合わせて約30件あったという。無記名で「市民に謝れ」と書かれたはがきも届いた。ネット上には男性に関する誤った情報、人格を否定するような内容の書き込みが相次いだ。男性は「仕方ないこと」と受け止めるが、「誹謗中傷はいじめと同じ。気の弱い人は精神的につらくなり、自殺しかねないと思う」と警鐘を鳴らす。

 他自治体のホームページを見ると、感染者の情報を年代、性別とも非公表としているケースもある。男性は「最低限の情報は出す必要があると思うが、年代、職業、家族構成を発表する必要はあるのか。この内容から感染者を特定しようとする人がいる」とし、保健所が発表する感染者情報について「本人の意見を尊重してほしい」と要望する。

 男性は退院後約1カ月間外出を自粛して健康観察を続け、その後仕事に復帰した。しかし仕事以外の所属団体の活動は、「来てほしくないと話す人がいたから」との理由で今も参加を自粛している。

 街で会った知人には、仕事をしていると話すと「信じられない」と驚かれた。「コロナ感染者が社会復帰すると偏見の目にさらされる。誰もが感染するかもしれないのだから、感染後、復帰した人を受け入れる社会づくりが必要」と男性は話す。

https://news.yahoo.co.jp/articles/031c870e6dba5098e2629c7d76a7f9ba8712bd41