本県で初の新型コロナウイルス感染者となった盛岡市の40代男性が勤務する会社に抗議や問い合わせが殺到していたことが3日、会社への取材で分かった。男性や会社への誹謗(ひぼう)中傷や個人の特定を迫るもので、自治体は冷静な対応を呼び掛ける。懸念されていた事態が現実となり、県民からは落胆の声が漏れた。

 男性社員の感染確認を県と市が発表した7月29日夜、会社は「地域の不安を取り除くため」としてホームページ(HP)で社員の感染を公表した。31日までに「男性を首にしたのか」「会社の指導はどうなっているのか」などの電話やメールが相次ぎ、アクセス集中でHPは一時閲覧不能になった。

 その後、達増知事が「誹謗中傷は犯罪に当たる場合がある。抑止や対応という観点で鬼になる必要もあるかもしれない」と語るなど、誹謗中傷を戒める報道が広がり、事態は沈静化に向かったという。

岩手日報 2020.08.04
https://www.iwate-np.co.jp/article/2020/8/4/82641