お盆シーズンが本格化する中、安倍晋三首相の夏休みが中ぶらりんの状態になっている。地元の山口県入りを検討していたが、新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、東京都の小池百合子知事が旅行や帰省の自粛を都民に呼び掛けたことで立ち消えになった。こうした状況で東京を離れれば批判を招きかねないとの懸念もあるようだ。

 首相は12日、午前中は東京・富ケ谷の私邸で過ごし、午後1時すぎに首相官邸に出勤した。夏休みの日程が固まらないため、やむなく「午前休」(官邸関係者)でつかの間の休息を取った形だ。

 首相は例年この時期に地元で墓参りし、13日に開かれる花火大会に参加するのが習わしだ。政府は帰省自粛を求める立場ではないため、首相は今年も同様の日程を描いていた。だが、首相周辺によると、小池氏が真逆の立場を打ち出したことから、取りやめざるを得なくなったという。

 首相が今年の夏休みのスケジュールをキャンセルしたのはこれで2回目。7月に4連休を利用して山梨県の別荘訪問を計画した際も、小池氏が不要不急の都外への移動自粛を要請したため、諦めるしかなかった。首相周辺は「毎回、小池氏に邪魔されている」と悔しがる。

 「批判の集中砲火で疲れている」。首相の近況を周辺はこう明かし、15日の終戦記念日後は例年通り別荘に滞在して、英気を養えないかと気をもんでいる。ただ、「優雅な静養は国民から反発を浴びる」(自民党ベテラン)との声もあり、二の足を踏んでいるのが実情だ。

2020年08月13日07時07分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020081200884&;g=pol