黄色い花を咲かせる北米原産の植物で、特定外来生物に指定されている「オオハンゴンソウ」が県内のほぼ全域で見つかっている。駆除と生態研究を行ってきた「自然観察の会ふくしま」が13日までに、県内の状況を発表した。

 繁殖力が強く、在来植物を駆逐して生態系や農林業に悪影響を及ぼす恐れがある一方、県内ではほとんど駆除が進んでいないという。道路脇や川沿い、空き地などで見られ、貴重な湿原や景勝地にも侵入している。

 明治時代に観賞用として日本に持ち込まれ、庭などに植えたものが野生化したという。県内では1990年代から野生化が目立つようになった。

 北塩原村の五色沼近くでは、環境省の駆除事業が2008〜19年まで実施され、12年でおよそ138万株を駆除した。だが、オオハンゴンソウの再生スピードが速く、いまだ根絶のめどは立っていないという。

 駆除方法としては、種子ができる前にスコップやねじり鎌を使って根ごと掘り出し、土を取り除いてその場で天日にさらして枯らす。その際、芋状の根が土中に残らないようにするという。再発しなくなるまで駆除を続けなければならない。応急措置として刈り払いで繁殖を一時的に遅らせることはできる。定着して間もなければ1〜3回の駆除で簡単になくすことができる。

 新たな問題もある。五色沼で昨年、オオハンゴンソウの再発生が見つかった。イノシシがミミズなどを食べるために土を掘り返した痕跡があった。イノシシの「掘り返し」で発芽に有利な環境に変わり、土中で休眠していた種子が目覚めて再発生したとみられる。オオハンゴンソウの駆除だけでなく、イノシシの防除対策も同時に行う必要があるという。

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