国道などの幹線道路沿いでよく見かけるポイ捨てされたペットボトル。液体が入ったまま捨てられているものもあり、中には、スポーツドリンクのペットボトルにお茶のような色の液体が入っていることも。あの液体の正体は何? 道路の清掃なども行う道路管理者を取材すると、作業員が回収し、一本一本ふたを開けてトイレに流して捨ててくれていた。

◆「エチケット守って」住民や道路管理者、困り顔

 今月上旬、岐阜県加茂郡坂祝町の国道。道ばたにスポーツドリンクのペットボトルが転がっていた。中に赤みがかった茶色い液体が入っている。近くの畑にいた70代女性は「お茶かな。でも、お茶の容器ではないね」と不思議そう。しばらく考えて「そういえば聞いたことがある。トイレで流せばいいのにね。エチケット。どちらにせよ、ポイ捨ては迷惑」と困り顔だった。

 道路事情に詳しいトラック運転手の50代男性は「尿だと思うよ。どうやってしているのかなって仲間と話すこともある」とのこと。ただ、男性は「車内で用を足すにしても、ポイ捨てが理解できない。僕は、荷台に会社名が入っているから絶対にやらない。トラックに限らず、乗用車でも人間性の問題」と話した。

 液体が入ったペットボトルはどのように処分されているのか。国道を維持管理する国土交通省の美濃加茂国道維持出張所(美濃加茂市本郷町)を訪ねた。ここでは、委託を受けた民間会社の作業員が3人一組でパトロール車に乗り、1日置きに巡回。道路が損傷していないか確認したり、落下物や動物の死骸を回収したりしている。ペットボトルなどポイ捨てされたごみの回収も業務の一つだ。

◆11本回収「たぶんお茶ではない」

 その日は、午前中だけで11本を回収。薄い黄色から赤みがかった茶色まで色はさまざまだ。宇佐美薫出張所長(58)は「飲みかけのお茶の可能性はゼロではないが、たぶんお茶ではない」と話す。こうしたポイ捨ては、ペットボトルが普及し始めた頃から見られるようで、道路の合流部や待避所などに落ちていることが多いという。

 作業員は、液体入りペットボトルを出張所前にある待機所に運び、ふたを開けて中の液体をトイレに流して捨てた。空になったペットボトルの臭いを嗅がせてもらう。「うっ」。思わず顔を背けるほどの強烈な臭いが鼻を突く。明らかにお茶ではない。

◆「所定の場所に捨てて」

 空のペットボトルは水で洗って捨てているといい、宇佐美出張所長は「一連の作業を含め、全て税金で処理する形になる」とした上で「ポイ捨てがなければ、その費用を別の業務に回せる。道路を気持ちよく使えるよう持ち帰るか、道の駅のトイレなど所定の場所で捨ててほしい」と話す。

2020年08月18日 08:48
https://www.gifu-np.co.jp/news/20200818/20200818-265801.html
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