「訳ありパン」いかがですか――。大阪市のオフィス街にあるパン工場に、焼きむらがあったり形が悪くなったりしたパンを、安く売るコインロッカーがある。昼時になると、サラリーマンや親子連れが100円玉を手に立ち寄る。担当者は「フードロスを防ぐとともに、普段は関わりの少ない工場スタッフとお客さんとの交流にもつながっている」と話す。

 大阪市北区南森町の「エーワンベーカリー」本社工場。横3列、縦7列のコインロッカーは入り口付近にある。透明になっており、中を見て商品を選ぶ。100円か200円で、天然酵母のメロンパンやケーキドーナツなどの人気商品も。両替機はないため、コインは各自で準備する。

 8月の平日の午後に訪れた会社員の寺尾雅哉さん(57)はこの日、初めて購入。「通り掛かって気になっていたが、人が並んでいて、なかなか買えなかった。見た感じでは、訳あり品とは思えない。家族と食べたい」と顔をほころばせた。

 同社によると、工場のスタッフが1日に6〜7回パンを補充し、2万円近くの売り上げがある。元々は1990年、大阪市にある阪神高速道路のパーキングエリアでパンを無人販売するために置かれた。フードコートが充実したため撤退し、記録はないが、20年以…(以下有料版で、残り144文字)

毎日新聞 2020年8月22日 12時10分(最終更新 8月22日 19時49分)
https://mainichi.jp/articles/20200822/k00/00m/040/047000c